2015年11月

次の土曜日11月28日に お寺で『玄牝(げんぴん)』という映画の上映会をします。
同作品は愛知県岡崎市で自然分娩を推奨している
産婦人科医・吉村正さんが院長を務めらていた吉村医院で、
河瀬直美監督が16ミリフィルムを片手に約1年間密着したドキュメンタリーです。

敷地内に江戸時代の茅葺き小屋を移築し、そこで薪割りや雑巾がけなど 
昔ながらの暮らしを経験し心身ともに健康な状態でお産を迎えるという吉村医院の日常が描かれています。

陣痛促進剤など医学的な処置を経ず分娩台ではない場所でお産をした
今の日本では少数派になりつつある女性たちが主に描かれています。


の映画に登場する女性たちは よく笑い美しいというのが私の率直な感想なのですが 
彼女たちがお産の直後に口にする『ありがとう』『幸せ』。。。などという言葉がとても印象的でした。
今もこんなお産を選択している女性がいるのだということを知ってもらえればいいなと思います。


一回きりのお産の現場で 河瀬監督が16ミリカメラにこだわったのは 
情報としての映像ではなく、作品としての映像を撮りたかったからなのだとか。
その映像の淡々とした美しさも心に沁みます。


映画を観た人ひとりひとりが全く違うの感想を抱くというのもこの映画だからこそ。
老若男女 年齢性別を問わず多くの方に観ていただきたいなとおもいます。
今回は上映会後に 吉村医院で助産師として働かれ 
映画にも出演されている松浦照子さんはじめ 
AOIネット(愛知お産といのちのネットワーク)のメンバーである
助産師 鍼灸師 ヨガインストラクターや先輩ママなども含め シェアリングの時間を持ちます。
こちらの時間も楽しみです。
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【日時】2015年11月28日(土)
    12:30受付 13:00上映会開始 
    15:00シェアリング会 16:00終了予定 

【場所】平田寺(へいでんじ)
    愛知県北名古屋市九之坪宮前6 tel. 0568-48-6806
    名鉄線西春駅から徒歩約9分    

【会費】 予約 ¥1000 当日 ¥1500...
     高校生以下無料(お子様連れの方は、予約時にお知らせください)

【申込】 tel. 0568-48-6806(平田寺)
    
<ゲストプロフィール>
松浦 照子(まつうら てるこ)
岡山県倉敷市生まれ。助産師。
結婚を機に埼玉に移住。
看護師を10年経験した後、看護教員を経て助産師となる
出張専門開業助産師として自宅出産に関わりながら、
愛知県の吉村医院や沖縄のゆいクリニック棟
自然なお産を大切にする医院で非常勤助産師としても活躍中。


主催:AOIネット(愛知お産といのちのネットワーク)、平田寺、いわくらシネマ

逞しいは 楽しい
美味しいは 美しい 
11月10日の中島デコさんのディナートーク
とてもとても素敵な時間でした。

小さなひとが楽しくワイワイ走り回って みんなで賑やかにご飯を作ったり 泣いたり笑ったり 
そんな企画が多い平田寺ですが 
たまにはしっとり大人っぽい催しもいいねと言うことで今回は大人限定のディナートーク。
美味しいお食事をゆっくり味わって 食後のトークの時間もたっぷりと 緩やかな時間が流れました。
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デコさんが作られるお料理はもちろんですが 中島デコという女性が何とも言えず魅力的なのです。
その経験の豊かさからくる強さ しなやかさ 内面から湧き出る美しさ 
この日はたまたまお寺に宿泊中だった山納敏之さんをゲストにお迎えして
おふたりの面白さに魅了される夜となりました。

そして 前日からお手伝いに入ってくださった方々の手際の良さと言ったら 
30人分のお料理をがあれよあれよという間に出来上がってしまいました。
いつものことですが こうして見えない部分をたくさんの方々に支えていただいているからこその催しです。

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他県から足を運んでくださった方もいらして 参加者さんの顔触れもまた愉しいひととき。
みなさんとともに作りあげた時間 宝物です。ありがとうございました。
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中島デコプロフィール

1958年東京都生まれ。料理研究家。16歳でマクロビオティックに出会い、25歳から本格的に学び始める。86年東京下北沢でマクロビオティックの料理教室「ワンダーマミー」を主宰。二度の結婚で2男3女の母となり、99年フォトジャーナリストの夫エバレット・ブラウンとともに千葉県いすみ市に移住。田畑つき古民家スペース「ブラウンズフィールド」を立ち上げる。田園を望む「ライステラスカフェ」や「慈慈の邸」のほか、料理教室やデトックスプログラムなどのイベントも開催。『中島デコのマクロビオティック 玄米・根菜・豆料理』、『小さな子のマクロビオティックおやつ』(娘の渡貫子嶺麻との共著。共にパルコ出版)など著書多数。


ブログ「中島デコの うみ・そら・みどりを召し上がれ」

デコさんとそのご家族・お仲間の暮らしの場でもあるブラウンズフィールドは、
昔ながらの知恵をヒントに、豊かな食を中心にした心地よい暮らしを提案しています。

キャラバンの最後は 福島県田村市の蓮笑庵さんにお邪魔しました。
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蓮笑庵は、1990年(平成元年)に 画工人渡辺俊明氏が 
天地に絵を描くように自ら設計し、庭を造り、
人も自然も互いに対話し喜びあえる美の浄土を願って作ったアトリエです。
山を縫うように建つ建物は、工房、アトリエ「雑花山房」、応接空間「万菜」、絵本館など 
それぞれの性格を持ち、国内外の美術工芸品を所蔵した暮らしの空間でもあります。

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24年に渡り芸術と自然を愛する人達の憩いの場となってきましたが 
2005年(平成17年)の俊明氏の没後は、共に感じ、学びあうご縁館としてアトリエは解放され、
さらに 2011年の東日本震災後は奥様の渡辺仁子さんにより、
周辺の豊かな自然環境を活かした「くらしの学校」を開校。
思を共有する人々が深く物事を見つめ、いのちを考える学び舎となりました。

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原発事故後の大きく損なわれた福島の未来を 教育という切り口からアプローチし、
地域に根ざした衣食住の文化を改めて見直しながら、
地域の人に向けた「くらし」を学ぶ講座やワークショップ、
全国からの宿泊型集中講座の開催、復興現場の活動や課題について学ぶスタディツアー、
子ども向け保養&体験プログラムなど、
自然に寄り添い いのちの声を聴く様々な活動の「場」となっています。

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昨年のキャラバンで初めて伺った蓮笑庵さん
自然に寄り添いながらも凛と立つ夢のような空間に すっかり魅了されてしまいました。
奥さまの仁子さんとはその後もご縁をいただき 
名古屋においでの際には平田寺にもお立ち寄りくださっています。
こんな時だからこそ できることをコツコツと日々を丁寧に暮らす。
その大切を伝えてくださる何もかも包み込むやさしさに溢れた方です。
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大きな想いが込めれれた場所は そこにいるだけでその想いとひとつになれるような気がしました。
陽射しの中の蓮笑庵も素敵でしたが 夜のとばりが下りるころの景色もうつくしくて
時のたつのも忘れてしまうほどでした。 
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福島は 本当に素晴らしいところ。
それぞれが それぞれの場所で それぞれの想いを胸に日々を生きている。
福島に寄り添い学び 日々の暮らしを紡いていく 
ここ愛知でそんな日々を送っていきたいと改めておもっています。

折しも 私たちが福島へ出発した日の早朝 フランスで起きたテロ。
遺族となった方々の哀しみと テロが起きた原因。
今の便利で 一見快適な私たちの暮らしと原発事故のこと。
ちょっと乱暴かも知れないけれど根っこは同じことなのではないかと思ったりしています。

矛盾に満ちた世の中で 矛盾に満ちた私は日々を紡いでいる 
そんなことを忘れないために私たちはこの活動をしているのではないかとおもうのです。
と大変個人的な感想でのしめくくりになってしまいましたが
長い報告記事をお読みくださりありがとうございました。
それでも ここでご報告したことはごく一部。
とても言葉にすることができない想いが溢れる旅でした。
それはキャラバンに参加したメンバーそれぞれが感じていること。
近々 福島キャラバン2015の振り返り兼ねた報告会を予定しています。
開催日が決まりましたら ご案内しますのでそちらへのご参加もお待ちしています。


蓮笑庵さんHPは→こちら
つながるかもすプロジェクトfacebookページは→こちら

福島キャラバン最終日の11月16日の午後は、
創業300年 自然米100% 純米100% 天然水100%の酒造りをされている金寶酒造仁井田本家さんに伺いました。
2011年に創業300年を迎えられた金寶酒造仁井田本家さんは その年に日本で初めての100%自然米使用の酒蔵となられました。そしてその年に東日本大震災が起きたのです。あれから4年8か月 本当に本当に大変な時期を経て今があるのだそうです。

【金寶自然米栽培田】
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金寶酒造十八代目仁井田穏彦社長と 
仕込みの真っ只中に酒蔵をご案内くださった社員さんのお話をお聞きしながら 
「水」という大切な自然の恵みをいただくために 
山を守る(手をつけない)ことをこれまでの300年間続けてこられた誇りと 
それを次の100年へ繋いでいこうとする心意気を感じました。
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仁井田本家さんでは、全員が酒造りのプロフェッショナルになるべく 
冬は全員で酒造り 夏は全員で米づくり 全員が酒造りのすべてをマスターする努力をされているそうです。
若い社員さんが多いのが印象的でした。
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そして 「日本の田んぼを守る酒造になる」その言葉通り
蔵のある田村町を「山が豊かで きれいな川が流れ 元気な田畑が広がり たくさんの生き物がいて 
良い米や野菜がとれ 人が集う」本物の田舎にしようと 
地域のお仲間とともに様々な試みをされています。

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100%自然米使用の酒蔵になられた仁井田さんの次の夢は「自然米醗酵醸造蔵」になることだそうです。
つながるかもすプロジェクトとしては この言葉の響きを耳にしただけで もうわくわくしてしまします。
詳細は 金寶酒造仁井田本家さんのHPをご覧くださいね。

福島キャラバンのご報告 昨年に続きお邪魔した白河市の蓮笑庵さん。
やはり素敵なところでした。ご報告記事はこれでおしまいです。
長文お付き合いくださりありがとうございました。蓮笑庵さんでのおもいについては→こちら


仁井田本家さんHPは→こちら
つながるかもすプロジェクトfacebookページは→こちら

福島入り3日目の11月16日
心と体と地球のための自然食レストラン「銀河のほとり」を出発する前に 
愛知県春日井市のお母さんたちが中心になって小さなひとも一緒に心を込めて仕込まれたお味噌をお渡ししてきました。もちろん梅干しと味噌の中に込められたみなさんの思いとともに。
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朝ごはんと克子さんが入れてくださったコーヒーをいただいて光の中を出発です。
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白河城を眺めながら車を走らせ 
日本最古の公園南湖公園に立ち寄って名物のそばまんじゅうをいただき 
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白河市の仮設住宅(浪江地区)へ向かいました。

昨年に比べお住いの方も少なくなり 来年にはみなさん他所へ移動される計画があるのだとか。

ご当地グルメ浪江焼きそばの話とともに 日々変化する放射線量の話になり 
今でも決して終わってはいない現実を垣間見る時間ともなりました。

次に向かった同じく白河市の仮設住宅(双葉地区)の集会所では 
円座になって手を握り合ってあれこれお話し。
昨年の訪問を覚えていてくださった方々とも話がはずみます。
こちらにも お味噌と梅干し 手作りの雑巾 自宅の庭でとれた柿などを手渡してきました。
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ちょうど前日が一時帰宅の日だったということもあり

今もそのまま残されている双葉町のご自宅の話になり

イノシシやネズミなどの野生動物に侵入されて
荒らされている屋内の様子を笑いながらあっけらかんとお話ししてくださる姿に 
どうお声をかけてよいのか言葉に詰まってしまいました。

そして 避難の際に自宅に置き去りにしてきた猫のはなし。
どんな気持ちでペットたちと別れたのか そして再会を果たしたのか。

様々な別れを経験されている方がある中 その方今 仮設住宅の一角で猫も一緒に暮らされています。
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どれだけ苦しく悔しい思いをしてこられたでしょうに 穏やかに淡々とそれらを語られるのです。 


それでも「誰も口にはしないけど 今も出続けてるんだ」
もしあれに赤い色がついてたら絶対に誰もいかない」

ぽろっとこぼれる言葉と 帰る場所であるふるさとに帰ることができない葛藤をおもうと胸が締め付けられます。


伺ったのが日曜日で在宅の方が少なかったため 
後日今回の福島行きのお世話をしてくださった白河市の絹子さんが 
再度訪問して梅干を味噌を手渡してくださり 
さっそくお味噌汁を作ったよと写真をお送りくださいました。
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すべての人は 自然との関わりや人とのつながりの中で生かされている

人は 決しては弱い存在ではないけれど 
自分の中に大きな矛盾を抱えながら生きていくことは楽なことではないとおもうのです。
だからこそ誰かのちょっとした支えや笑顔が必要なのではないかと。

ずっと忘れないこと。私たちにできることはそのくらいの些細なこと。
それでも こんなちょっとしたつながりを これからも静かに紡いでいければいいなとおもいます。


福島キャラバンご報告⑤
創業300年 2011年に日本で初めて自然米100%使用の酒蔵となられた郡山市の仁井田本家さんへの訪問については→こちら

つながるかもすプロジェクトfacebookページは→こちら

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