まいまい狂言会が終了し、随分経ってしまいましたが、

7月末に行なわれた第2回目の公演は、ベビーカーがズズ~ンと並んだ

去年の赤ちゃん連れの会とは違い

舞台を鑑賞するという雰囲気が漂う落ち着いた会でした。

 

内容は、演目とワークの2本立て。 

演目は、又三郎家では100年ぶりに演じられた「柑俵」。

ワークは「室町人になろう!」と題して、

狂言で使われている、室町時代の口語を体験しました。

どちらも好評で、多くの方が楽しい時間を過ごされていたようです。

 

ところで、私が狂言の会に関わっているということを話すと、

かなりの狂言通と、思われてしまうこともあるようですが、いえいえ・・・

狂言に限らず、日本の伝統芸能や日本文化については、

分からないことばかりでして、楽しく勉強させていただいている真っ最中です。

 

ひょんなご縁で、まいまい狂言会のお手伝いをさせていただくようになってから、

私にとっても、家族にとっても、日本の伝統芸能が身近になりました。

歴史が培ったものは奥深くて、いくら掘り進んでも飽きることがありませんし、

覗いてみれば、興味深いことばかりでますます知りたくなる。

日本人なのに日本の文化に興味があるというのもおかしな話ですが、

自然に流れているはずのその国の文化に気づかずに暮らせてしまうのが、今の世の中。

素晴らしい文化を持った国に生まれ暮らしながら

その良さ・大切さに気づかずに暮らしているなんて、もったいない。

暮らしと別々に文化が存在しているわけではないので、

底のにある緩やかな大きな流れのようなものには誰でも触れているはず。

それを少し意識化すると、その面白さが倍増するということではないかと思ったりしています。

 

大人は、意味を求めたり、ごたくを並べてしまいがちですが、

細かいことに拘りすぎて、本筋を見失ったりしないよう

アタマではなくカラダで感じ、全体的に見渡す感覚を育てる為にも、

小さな頃から、本物に触れる機会をたくさんたくさん、持ってもらいたいと思います。

 

伝統芸能は、人を惹きつける魅力があるから、長い年月を経て受け継がれてきたのでしょう。

その昔、能楽が神社やお寺の境内や、

川原などの屋外の舞台で演じられていた時代には、

演じられる舞台を、こどもたちもどこかで垣間見ていたのではないでしょうか。

大人の楽しみに憧れながら、その面白さを肌で感じていたのでしょう。

そんな遠い昔に思いを馳せながら、まいまい狂言会当日も会場を眺めていました。

大人が興味と敬意を持って接すればその気持ちは必ず子どもにも伝わるもの。

この国の文化や伝統は、誰かが守ってくれるのではなく、

一人一人が、それぞれのカタチで受け継ぎ守っていかなければならないものでしょう。

まずは、それに気づき、何か行動する。

能動的な行動には、何かのきっかけが必要なので、

まいまい狂言会が、そのきっかけの一つになることを願っています。

公演にいらしてくださる方々にとっても、スタッフとして関わる我々にとっても。